成川ジローの愛すべき○○ブログ(ネタバレあり)

管理人である成川ジローが愛すべき映画やアニメを格闘技、プロレスに絡めたりもして語るブログ。

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メメント

 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』のカトさんからのコメントで名前があがった作品だし、クリストファー・ノーラン監督と言うことで前々から見たかったものでもあるし、ちょうどBS11の深夜に放送があったので、自分のタイミング的にドンピシャな作品。「見るには良い日だ」
 今回はこの映画の仕掛けの記憶についてP.S.で哲学的なところに触れるので、下手したらレビューよりもP.S.の方が長くなります。


邦題『メメント』
原題『Mement』
2000/アメリカ/113分
監督 クリストファー・ノーラン
出演 ガイ・ピアース、ジョー・パントリアーノ、キャリー=アン・モス

ポスター

 妻をレイプののちに殺害され、そのときに自分も頭に傷を負い、10分程度しか新しい記憶を保てない前向性健忘症になってしまった主人公レナード。その症状をポラロイドカメラとメモ、そして自分自身の身体へタトゥーで刻み込むことによって克服しようとし、妻を殺した犯人を探し出して復讐を成し遂げようとする。


 凄い作品だった。物語の構成方法が素晴らしい。普通の映画は物語は未来へ未来へと伸びていくのだが、この映画の場合は逆。物語がだんだんと過去に伸びていく。とても斬新。その分作品全体を理解するのが難しくなるが、その謎解き的な要素は、主人公のその症状の追体験のようなもので、普通の人にとってもはや脳トレの域に達している。それらの仕掛けは完璧に機能していたと思う。
 この仕掛けに関して何の前情報も無く見てみたんだけど、それが良かったのか、自分は見事にハマった。

 オープニングのだんだん消えていくポラロイド写真のシーン。

オープニング

 ここからもう目が離せなくなる印象的なシーンであり、ポラロイド写真が消えていく(逆再生)と言うシーンがこの映画全体のテーマと言うか、主人公の症状を端的に表していると言っても良いだろう。映画の方向性もこのワンシーンで定めた。
 作中に流れる音楽も静かで悲しげなものが多く、それがレナードの症状の深刻さと壮絶さの印象に拍車をかける。とても合っていたと思う。
 役者も、演習も良く、登場人物が実は何を考えているのか、主人公レナードが疑心暗鬼になるのがとても良くわかる。上手い。
 主な登場人物は3人。
 主人公のレナード。

ガイ・ピアース

 演じているのはガイ・ピアース。普通に良い。焦りも不安も、そしてそられを隠して普通を装う姿も良い。


 レナードの友人、協力者、謎の人物、テディ。

テディ

 演じているのはジョー・パントリアーノ。凄い親しげにレナードと接しているのが、レナードも作品を見ている自分も、こいつが何か真実を隠しているんじゃないかという疑心を上手く煽っている。
 『グーニーズ』のフラッテリー一家の弟の方だとか、『マトリックス』のサイファーだとか、見てて全然気がつきませんでした。


 もう一人の協力者、謎の人物、ナタリー。

キャリ-

 キャリー=アン・モス。『マトリックス』以外じゃほとんど見たこと無かったけど、謎の女性ってのが似合う人だな。美女がどうかはともかく笑 腹の底で何を考えてるのか、本当にわからない。
 この3人の主要人物は、この作品に関して言えば本当に完璧な演技をしていたと思う。

 この映画の真相。主人公が自らの生きる目的のために自らを騙し、復讐を行い続けるというのは、壮絶でありながらとても悲しくて切ない。この主人公は一生報われること無く、だがしかし一生目的を見失うことも無く生き続け、そのうちジョン・Gかはたまた警察か誰かに殺されるだろう。
 前向性健忘症となってしまった事と妻の件により下した主人公の決断はゾンビではなく人間性はあるものの、まさに生ける屍として彷徨い続ける。想像するだけでも恐ろしい。客観的に見ると絶望しかないのだが、本人からしてみれば犯人への復讐と言う希望しかない世界となるのか……。

 この前向性健忘症は程度にもよるが、外傷性のものである場合、言語障害など合併症が見られないのでそこまで重態と言うわけでなく、実際はリハビリなどで治ることもあるらしいが、もはや手遅れだし、主人公自らがその道は選択しなかった。

 『ダークナイト』を見た限りではクリストファー・ノーランはマイケル・マンの良い所だけを持った監督って感じだったんだけど、この作品を見て評価は上がった。バットマンシリーズの新作も含め、これからの活躍が一層楽しみになった。


愛すべき名場面
○オープニングの逆再生

愛すべき名台詞
特に無し


評価
★★★★☆
(★ 五つが最高。☆は0,5点)

予告編↓


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ガイ・ピアースキャリー=アン・モス

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P.S.
 記憶と言うものと死についてちょっと考えてみようと思う。考えてみようと言うよりも、記憶を失くすということに関する自分の意見。記憶を失くしたら別人って話。
 
 「ある人」が「ある人」であるが所以、まあ自分を例に言い換えるならば、成川ジローが成川ジローである所以。まぁ成川ジローってのはハンドルネームですけど、いったい自分の何が成川ジローと言う人物を構成しているのか。他者から見たらそれは簡単で、外見である。外見で無数の人間の中から自分を「成川ジロー」と言う人物だと定める。外見と記憶の一致か。目が見えない人にとっては、声だったりする。目も見えない、声も聞こえない人だったら、臭いとか感触になるかもしれない。まぁそこら辺で限界は来るけど。
 ともあれ、自分から見たら、何が「成川ジロー」と言う人物を成り立たせているのか。存在とか自我と言うことなら「我思う、ゆえに我あり(コギトエルゴスム)」という有名な言葉から、意思とか思考って言えるんだろうけど、そういう存在ではなく、そこまで掘り下げない。人物。自分が「成川ジロー」だと認識できる所以。それは記憶である。記憶が成川ジローを成川ジローであらせている。記憶が二種類あるっていうのはまた別の話だからおいとく。

※魂という目に見えないものがあるならば、それはおそらく液体状の記憶と感情と意思の塊であると自分は思う。それが人間や動物の身体全体に備わっているんだと思う。臨死体験したときに見たイメージがそんな感じだったて言うのもあるんだけど、まぁこれはまた別の話になるので置いておく。

 当たり前だが記憶というものはとてもとても大事なもので、今までの記憶が無かったら自分を自分だと認識できなくなる。当たり前だ。記憶喪失者は自分が誰だかわからなくなる。記憶を失くすということは自分を失くすということに相違無い。まぁ忘れているだけで治ることが多いけど。だからとにかく記憶を失くすということは、自分と言う存在が失われる怖さがある。アルツハイマーなんかもそうだしね。
 今回の『メメント』では、主人公はある一点から過去の記憶はあるので、自分を認識できてはいるが、その一点から先は覚えられない。思考はできるけど記憶はできない。治療の道も選ばず、一生前に進むことのできない生ける屍となってしまった。
 『ガチ☆ボーイ』と言う邦画は前向性健忘症で記憶が寝てしまったら全て忘れてしまう主人公が、プロレスをやって身体にその痛みを覚えこませて、頭で覚えて無くても身体で覚えてるぜ!万歳!って言う、一人の男がまともな治療もリハビリもせず、さらに外傷性で頭の傷が原因なのにその頭をさらに傷つけるような運動(プロレス)をしまくって病気が治らなーい悲しい感動涙出るとか言う、病気もプロレスも馬鹿にした本当にふざけた恋空並のクソ映画なんだけど、これも「不治の病」として考えるならば、前に進むことの出来ない、絶望しかない恐ろしい。もう死を選ぶほか無いように思うけど、思ったその場でやらないと、その決心すら忘れてしまう。
 『トータルリコール』では主人公のシュワちゃんが別の人物の記憶を植えつけられたことで別人として生活していた。記憶取り戻すんだけど、これをどう考えるべきか。記憶の上書きと言うのは殺人と一緒なんじゃないだろうか。上書きされた時点で一度シュワちゃんは死んで、さらに取り戻したとき、その上書きのシュワちゃんは死んでる。他者から見たらわからんし、本人としてみても「記憶を消された」という記憶は多分残らないわけだから何ともないかもしれないけど、今の自分が偽の記憶を持たされていると理解したシュワちゃんが元の自分の記憶を取り戻す決心をする。これ考えてみたら滅茶苦茶恐ろしいでしょ。自分で考えてみたらさ、「今の自分を構成している記憶は全て嘘の記憶です」っていきなり言われて、それ全部捨てて元の記憶を取り戻したいって思えますか?記憶を失くすってのは死ぬって事とほぼ同義であると思う。
 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』も主人公の記憶が無くなってしまい、それでも復讐をやり遂げる意味はあるのか?って問いかけがあるんだけど、やっぱその復讐そのものに意味はあるだろうけど、記憶を失った復讐者は死んでるも同然で、復讐者にとっては意味は無い。まあその映画はもしかしたら記憶を取り戻したのかもわからんのだけども。

 何が言いたいのかわからなくなってきた。とりあえず、記憶ってのは自分を構成するものであり、題名の『メメント』ってのは『メメント・モリ』と言う自分が死ぬ存在であることを忘れるなって言うラテン語の警句であり、これ考えると自分の意見と同じく映画も記憶を失くす=死ぬって考えてるのかなと思って未だまとまってないのにちょっと語ってみました。
 駄文失礼。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2010/06/09(水) 00:06:01|
  2. 映画-洋画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

何気にメメント初見だったのね
初めて観たときは「映画で神経衰弱(トランプのね)をやるとは!」とびっくりした

言われてみればサイファーだw
何気にマトリックスと結構かぶってるなー
キャリーアンはマトリックスシリーズと今作以外で観たことがない…

ノーラン先生といえば夏にレオ様とケン・ワタナベ共演のサイバーパンク?が公開されるが個人的には今までのノーラン作品の中で一番おもしろそうと期待している
まあ今年は期待した映画がイマイチでそれほど期待してなかった作品が自分の中でスマッシュヒットする傾向にあるんであまり期待しないほうがいいのかもしれんが…

そういえばブレランは観た?トータルリコールと同じく(そもそも原作者が同じだし)記憶の捏造とアイデンティティを巡る作品ですぞ
  1. 2010/06/09(水) 01:09:04 |
  2. URL |
  3. かと #-
  4. [ 編集 ]

要集中力な映画

 普通に映画を理解しようとするだけで、どのシーンがどのシーンだったか覚えておかなきゃいけない、脳トレ映画。神経衰弱とは言い得て妙ですね。

 『マトリックス』を吹き替えでばかり見てたせいか、「レニー!」って陽気に話しかけてくるこの作品だと未だにサイファーとは思えない……でも顔写真見て、ハゲにしてサングラスかけてちょっと髭つけると確かにサイファーになる気がするんですよね(^^;

 日本人とハリウッドイケメン俳優共演のサイバーパンク……キアヌ様と北野武の『JM』の再来か!?笑 でも今はノーランってだけで少し期待してしまいます。

 『ブレード・ランナー』は見てますよ!!ただブレランの事を書くと、記憶云々だけでなく、もうアンドロイドと人間、「人間とは?」って言う根本的な命題と、記憶が関係してくる「死」について今回異常に語りたくなるんで、どうやってこのブログに記事を書こうか悩んでてまだ書けません(^^;
  1. 2010/06/09(水) 11:31:28 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

へいへい、お二人、記憶の捏造といえば「マトリックス」じゃないの?


これって、良く見ると完全な未来→過去ではなくて、
チャプターが1~10まであったら、
10,9,8,7,6,5・・・ではなく
10,1,9,2,8,3,7,4,6,5ってな感じになってるよね。
1~5はモノクロの短いチャプターになってて、
本線の6~10の補足+興味の持続になってる。
この作りがノーラン先生の旨さだと思う。
アイデア一発の人じゃないなーって。



この主人公強すぎじゃない?カタギの人?とか
奥さん本当に死んだの?とか
靴と靴を合わせるシーンって何?
そもそも時代設定は?
とか色々謎が多くて、何度も観返せる映画になっていると思います。
  1. 2010/06/10(木) 00:29:00 |
  2. URL |
  3. にし #-
  4. [ 編集 ]

マトリックスに

 記憶の捏造とかってありましたっけ??まぁサイファーとエージェントの取引とか考えるとできるっぽいですけど。
『マトリックス』の場合は記憶でなく、主観と現実とか存在とかがキーワードになってくると思います。

 途中途中の白黒のシーンが結構重要で、でもそっちばっかり頭が行ってると起こっている事が追えなくなって行くと言う、何度も言いますがこれ脳トレですよ!

 主人公を最初に見るシーンが銃を持っているシーンなので、「こいつ刑事?何者?」って気になるところですよね。強すぎるとは思いませんでしたけど。奥さんについては順当な謎かけ。テディが靴を合わせるシーンは……何なんでしょうね?靴をパクろうとでもしてたんでしょうか?(^^;
 時代は携帯電話の無いちょっと前の時代ですよね。たぶん。
 とりあえず見返したくはなります!
  1. 2010/06/10(木) 16:47:02 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

ノーラン先生だったんだ・・・忘れてた

ジローさん、記憶云々の話、共感♪

ちなみに、自分も「マトリックス」が最初に思い浮かんだけれど、確かに記憶というよりは何が現実なのかとか、現実を知らずに夢を見てる方がマシだわみたいな話だったから、違うのかもしれないね。

メメントは腰を据えて、集中しないとすぐに置いてかれる映画だよね。うちのお父さんが暇そうにしてたから、見せてあげたんだけど、途中で投げ出しやがった(泣)

面白いんだけど、なかなか人に薦めづらい作品だよなぁ。

ノーラン先生、スーパーマンの新シリーズの監督をする噂が。インセプションも気になるけど、ノーラン先生の今後の動向に注目ですわ!
  1. 2010/06/10(木) 22:27:02 |
  2. URL |
  3. CROSS #-
  4. [ 編集 ]

横レスだけど
自分の中ではマトリックスは記憶の捏造というか
マトリックス=社会体制
モーフィアスたち=社会に順応しない・できない連中。良く言えば哲学者・悪く言えば中二病患者

て感じで人間としていかに生きるべきかというような裏テーマ?を感じる

ノーラン先生、バットマンの次はスーパーマンかよ
  1. 2010/06/11(金) 00:37:58 |
  2. URL |
  3. かと #-
  4. [ 編集 ]

>>CROSS

 記憶って大事だよねー。マジで。

 『マトリックス』は記憶を誤魔化してるんじゃなくて、目の前にある世界を誤魔化してるわけだから、記憶自体は全くの正常なんだよね。体感しているものが仮想現実なだけ。仮想現実世界で頭に外傷を負って記憶喪失になったとかだと、もう何がなんだかわからなくなるけど(^^;

 見ようって見なきゃ駄目だと思うから、暇なときテキトーに見ようとするとしっぺ返し食らうからそりゃ仕方ないわ(笑

 真面目な映画が見たい人にはお勧めできるかな。娯楽作かっていうとちょっとわからんし。

 スーパーマンもやるのか……個人的にはオリジナルのもやって欲しいと思ってるんだが。確かに気になる。
  1. 2010/06/11(金) 18:28:55 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

>>かと

 そういう図式も考えられますけど、そうするとなんか「目覚めよ!」って言う自己啓発的なのが強くなっちゃいますよね。それに加えて「システムには敵わない」的な終わりにして、「お前ら自分では選ばれた勇者みたいに思ってるかもしれないけど、そんなん結局現実逃避なだけだからな(orゲームの中だけだからな)」的なテーマを入れてくれればなお良かった笑

 マトリックスは1作目はともかく、正直3作目とか全然覚えてないと言うか、よくわかりません(^^;
  1. 2010/06/11(金) 18:34:58 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

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成川ジロー

Author:成川ジロー
暴力は嫌い。
お酒も嫌い。
女性に弱い。
お金は無い。
誠意はある。

評価は
★=1
☆=0,5
五つ星=★★★★★が最高評価です。

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