成川ジローの愛すべき○○ブログ(ネタバレあり)

管理人である成川ジローが愛すべき映画やアニメを格闘技、プロレスに絡めたりもして語るブログ。

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レスラー

 トップページから行けるボンクラの記事にあるように、自分はボンクラを愛さずにはいられない。その不器用な人間を愛さずにはいられない。ボンクラの負の部分に共感してしまうところがあるからだ。その背中に漂う哀愁には惹きつけられるモノがある。そのボンクラの負の負け犬的な部分(その負がボンクラたる所以なのだが)を見事に描き出した作品。
 これぞ、ボンクラ。
 This is it. It is ボンクラ.
 This is ボンクラ。
 そんなボンクラ映画の一つが、この『レスラー』である。

 相変わらずネタバレは含みます。


邦題『レスラー』
原題『The Wrestler』
2009/アメリカ/115分
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェルウッド、ネクロブッチャー、

レスラー

 一言で表すならば、男たちの挽歌。ボンクラたちへのエレジー。またはボンクラたちへ捧げるレクイエム。
 ランディは80年代に一世を風靡したが、二十数年経った現在はスーパーでアルバイトをしながら辛うじてプロレスを続けていた。ある日、往年の名勝負と言われたジ・アヤトラー戦の20周年記念試合が決定する。メジャー団体への復帰チャンスと意気揚がるランディだったが、長年のステロイド剤使用が祟り心臓発作を起こし倒れてしまう。現役続行を断念したランディは、長年疎遠であった一人娘のステファニーとの関係を修復し、新しい人生を始める決意をするが……。

 プロレスの体に受けるダメージは本物でありながら戦うショーを演じている矛盾を抱えるような苦悩。これの延長にある、リング上の大きな声援受けるヒーローである自分と、現実の社会の底辺にいるような自分とのギャップの苦悩。いつまでも過去の栄光にすがる事は前進を止めてしまう行為であり、いつまでもずるずる引きずってしまうのは醜いモノなのだろう。ただ、やはり共感せずに入られない。自分は良く過去を振り返る性格だけど、惹かれる要因はそれだけじゃないだろう。惹かれるのは自分だけじゃないはず。

 話は少しそれるかもしれないが、実際、自分はアマチュアだが総合格闘技の試合に4回出て、3回負けたが一勝だけしたことがある。判定でなく、打撃戦の末に腕十字で一本勝ちである。今から見返すと動きは荒いし汚いし強引だし、見れたもんじゃない試合だが、それでも嬉しかった。そのとき、自分の意志でやると決め、努力して結果が出せた喜び、報われた喜び筆舌しがたいものがあった。忘れられない。人生の中で今のところ三本指に入る楽しい嬉しい出来事だった。それに全てを捧げても良いと思うこともある。全てを捧げたのが、この映画の主人公ランディである。
 主人公のランディ↓

ランディ

 ランディが、惹かれ合っていたストリッパーのキャシディに自分の身体の傷の履歴を、今怪我をしてきたかのように詳細を覚えていて語るシーンがあるのだが、わからない人にはわからないだろうし、「何言ってるんだこいつは?」と思う人もいるかもしれない。でも、その傷跡がランディの今まで生きてきて唯一誇れる証なのである。漢の勲章。自分が自分であるための栄光の証。こんなん自慢されても、特に女の子には絶対わからんだろうなと思う。ただ、自分はこのシーンで泣きそうになる。演じるミッキー・ローク、素晴らしい演技だったし、身体もプロレス用に仕上げてきていた。プロレスシーンもしっかりしている。
 有刺鉄線の巻かれたテーブルへのダイブシーン。ハードコアの試合もこなす。

ハードコア

 そしてまさかのノータッチトペ。観客も言ってるけど、まさに「HOLY SHIT!!」である。

まさかのノータッチトペ

 高さこそ無いものの、これができるってのは凄いことだ。

 主人公の過去の栄光が忘れられないのは痛いほどわかる。さらにこの主人公は、プロレスしか生き方を知らない。他に何も無いのである。ショーであるプロレスが自分の全てであった。自分自身のキャリアと重ね合わせたと言うミッキーロークの演技はアカデミー賞にノミネートされたが、取ってもおかしくはない迫真の演技だったと思う。俳優という職業もプロレスラーににたところはあるし、まさにそのものだったのかもしれない。この映画はランディの背中を追うカットが多用されているのだが、ロークの哀愁漂う背中、その悲壮感、駄目男っぷりは素晴らしかった。
 ロークの背中↓

背中

 娘、家族との距離は、プロレスラーにとってはとても難しい問題であるらしい。家族の理解もそうだが、興行であちらこちらに行くし、休みには身体を鍛えておかなくてはならない。家族との時間を作るのが難しい。
 娘のステファニー↓

娘

 演じているのはエヴェン・レイチェルウッド。『アクロス・ザ・ユニバース』のヒロインだけど気付かなかった。ランディが自分の今までステファニーと距離をとってしまったことを懺悔し謝るシーンもまた泣ける。それで好転しかけるが、自業自得としかいえない理由で約束をすっぽかしてしまい、溝が決定的になってしまう。擁護する気にはなれないけれど、悲しい。

 崩壊している家庭、娘との距離なんかはプロレスラージェイク・"ザ・スネーク"・ロバーツの人生そのものかと思うくらいだった。この作品はほぼノーフィクションの物語ようなものだ。ルックス的には『パニッシャー』とか『D.O.A.』にも出てるケビン・ナッシュに似てる気がしたけど。
 ケビン・ナッシュ↓

ナッシュ

 ストリッパーのキャシディとの恋が好転しそうでしなかったのも良かった。
 ストリッパーのキャシディ↓

まりさ

 マリサ・トメイが年齢が目立ち始めた微妙なストリッパーを絶妙に演じてた。ストリッパーと言う職業も、ランディと同じで、名前を偽って舞台に立つ仕事だ。キャシディの本名はパム。お互いに仕事と現実は別の顔を持っている。惹かれ合うところもあったのだろう。しかし結局は上手くいかなかった。心臓が良くないのに試合に向かうランディを心配するパムに、ランディは言う。

「俺にとって痛いのは外の現実の方だ。もう誰もいない。」
「私がいるわ」
ファンの声援が聞こえる。
「ほら。あそこが俺の居場所だ」

 こうしてランディは死の危険に直面していながらも試合に赴く。自分自身の尊厳のために。
 このランディとパムのやりとりは泣ける。マジで。

 現実では仕事中にポルノを見てるような店長やお客さんにペコペコしなければならない。この店長は、ランディがやっているプロレスのことや心情なんかは絶対に理解できないタイプの人間だろう。見下している。

店長

 大声援で迎えられるプロレスをしているときとのギャップは天と地ほどある。

プロレスシーンはしっかりしている

 プロレス中はまさにヒーローなのである。埋めがたいギャップだ。


 プロレスの裏側のシーンも良く出来ていた。

控え室

 インディーのプロレス会場の控え室。大抵何かの部屋を控え室代わりに使っている。かなりしょぼい。ここは遊戯室見たいなところだけど。メジャーじゃないショーの裏側はこんなもん。

筋書き

 プロレスのケーフェイ。所謂「筋書き」を対戦相手と相談するシーン。その後カットのシーンも出てきたり、ここまで丁寧に描いていたのがとても良かった。

体の故障

 身体全体がもうボロボロで、節々に爆弾を抱えていることを表すシーン。ランディの得意技からして、肘と膝が特にヤバイのがわかる。

スーパー

 スーパーでプロレスに使う小道具を選ぶシーン。これは面白い。



 とても素晴らしい映画だったと言わざるを得ない。プロレス知らない人に楽しめるかどうかはわからないが、良い映画であることは伝わると思う。去年のおススメ映画の筆頭。ミッキー・ロークの魂のこもった熱演、本当に素晴らしい。1回目は友人と一緒に見て、自分は誰かと一緒にいるところでは泣けない体質の人間なので感動はしたが泣かなかった。ただ、先ほど2回目一人で見てみたら、色んなところでグッと来て、最後のパムとのやり取り、ラストの試合前の演説、ラストの試合で自然と涙が流れた。これはまごうことなき愛すべきボンクラ映画だよ(;_;


 欠点があるとすれば、自分がプロレス大好き人間だから感じるのかもしれないが、もっとプロレスラーという素材を活かして欲しかった。駄目男映画としては見事だが、プロレス映画としてはちょっと浅い気がする。家庭との関係、試合の打ち合わせ、ガジェットのシーン、ファンとの関係は良かったけど、ドラッグや痛み止め、脳震盪、体の管理、ステロイド、ショービジネス、団体同士のつぶし合いなどプロレスの抱える闇というものはもっともっと深い。特にある種のマゾヒズムとも捉える事のできる肉体へのダメージによる高揚感や生への実感のようなものと、その代償である膝や腰などの故障や脳震盪の問題、それでも戦い続けるのは誰のためのか、などについては、もっともっと深く掘り下げて欲しかった。ただ、やり過ぎちゃうとそれはもう映画が変わっちゃうから、バランスが取れていたんだろうなとは思う。

 落ちぶれた理由は何かあるんだろうか、ただインディーのトップだっただけで、メジャーにはなれなかったと言うことだろうか?最初に超満員のマジソンスクエアガーデンって言ってるんだが、それってインディー団体で出来ることじゃない気もするし、フィギュアにもなってるのならメジャーにもなれたのかな?それにしては落ちぶれすぎている気もするが……そこら辺が気になってしまう。

 是非ともアカデミー賞何か取って欲しかったけどね。これが取ったらある意味まさにアメリカンな賞ですよね(^^;


 どーでもいい事だが、個人的に『バス男』がボンクラ映画の中のベストオブ田舎映画。『バッファロー'66』はボンクラ映画の中のベストオブ童貞映画。そしてこの『レスラー』をボンクラ映画の中のベストオブ駄目人間映画とし、愛すべきボンクラ映画の三大巨頭と認定する。異論は別に認める!


愛すべき名場面
○プロレスシーン全部
○プロレスの裏側
○傷の説明をする
○娘への懺悔と束の間の幸せ
○パムとの買い物
○ラストのパムとの会話からエンディングまで
ってかもう全体的に愛すべき名場面な気もする。


愛すべき名台詞
○俺はボロボロのクズで、孤独だ
○俺にとって痛いのは外の現実の方だ。もう誰もいない。 ~ ほら。あそこが俺の居場所だ。
○ラストのファンへの演説


評価
★★★★☆
(★ 五つが最高。☆は0,5点)



レスラー スペシャル・エディション [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]
(2010/01/15)
ミッキー・ロークマリサ・トメイ

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P.S.
出演していた自分の知っているプロレスラーを紹介しとく。
ハードコア戦をやったネクロ・ブッチャー。

ネクロブッチャー

最近はIGFに参加していた気がする。インディーデスマッチおじさん。その身体の張り様はミック・フォーリーに並ぶハードコア・レジェンドだと思う。ただ、普段は滅茶苦茶良い人なんだろうなあと思う。


奢ってくれたロン・キリングス。

ロン・キリングス

こいつが奢らなければ!!笑 ラッパーでもある。コークスクリュータックルは一見価値ありだと思う。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2010/05/07(金) 22:38:18|
  2. 映画-洋画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

プロレスはよくわからんがそれでもこの作品、去年の個人的ベストだわ
運命とかいう言葉は好きじゃないが、人間これまで生きてきたようにしかこの先も生きられないという意味でなら確かに運命ってものはあるんだろうなあと考えさせられた
哀しい作品だからジローはどう感じるかなと思ったが気に入ったようで嬉しいな

アカデミー賞ばかり注目されているけどこれベネチアでグランプリ獲ってるんだぞー
アカデミー賞よりは信用できると思うんだけどやっぱり宣伝はオスカー絡みが強いんだよねえ
エヴェン・レイチェルウッド、マリリン・マンソンと結婚したが、なんてビジュアル的にお似合いのカップルなんだ!
  1. 2010/05/08(土) 00:01:20 |
  2. URL |
  3. かと #-
  4. [ 編集 ]

プロレスが好きじゃなくても

この映画がベストって言うのは、なんか凄い良いことな気がします。
そういう運命のどうしようもなさってのは、とても切ないと言うか、泣けてきます。特にこの『レスラー』では、他に道が無いってのがとても痛々しく感じる。

金獅子賞ですよね。確かHANA-BIも取ってて、自分はHANA-BI凄い好きなんですけど、身近に感じちゃってイマイチありがたみが……。
そういえば、最初制作会社がニコラス・ケイジを使えって言ってきたらしいですけど、そうならなくて本当に良かった。

エヴァンとマリリン……白っ!!笑
  1. 2010/05/09(日) 21:45:26 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

> もっとプロレスラーという素材を活かして欲しかった。
これはプロレス知らない人向けに作ったからじゃない?
自分はプロレス知らないし、
生理的に受け付けないんだけど、
見やすかったし、かなり好意的に見られた。

他に仕事がないというテーマとしては「ハートロッカー」に通じる所があるかも。
  1. 2010/05/13(木) 00:04:28 |
  2. URL |
  3. にし #-
  4. [ 編集 ]

理解されれば十分

多分そうです。マニアックさが物足りない。だからプロレス知らない人でも楽しめる。ただ、プロレスが滅茶苦茶好きな人には物足りなく感じる。カルトを目指したい訳じゃなけりゃ、これくらいのバランスが正解なんですよね。別にコレを機にプロレスに興味を!って映画でもないし。興味を持ってもらえなくても全然良い、ただ理解していただければ嬉しいっていうバランスかなと。まぁ個人的な意見です(^^;

『ハート・ロッカー』はそれを社会問題っぽく問題提起してて、この映画はそこにあるなんともいえない不器用な愛と言うか哀愁をテーマにしてますよね。『ハート・ロッカー』の方が明らかにストレートに生き死にの問題になってくるから当たり前ですけど。確かに、この『レスラー』の舞台にも、一度味わってしまったら他では満足できない、麻薬のようなモノがあります。
  1. 2010/05/13(木) 22:44:55 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

ランディは 不器用だな

はじめまして ジローさん 

去年、友達とDVDでみましたv-52
>特に女の子には絶対わからんだろうなと思う。
 このことに関して友達は  「この作品たしかに女ウケしないだろうな」、と

>自業自得としかいえない理由で約束をすっぽかしてしまい、溝が決定的になってしまう。擁護する気にはなれないけれど、悲しい。
 ボクも理由は知ってます。 せっかく親子仲の修復のチャンスだったのに、そんな理由で 娘さんとの約束すっぽかすのは さすがに マズイよ~(´Ц`)

 確かに ランディは悲しいほど不器用な男でした。

ジローさん、そうでした・・・ミッキーロークが演じた不器用な男が もうひとりいました。
'88年「ホームボーイ」 こちらは、ロークが アメリカ各地を渡り歩く流れ者ボクサーのジョニー役です。

レスラーのランディーとはまた違った男の不器用さを「ホーム・ボーイ」のジョニーは持っています。

 「レスラー」と「ホーム・ボーイ」 ともにミッキー・ロークの主演で、ふたりの不器用な男が主人公 ランディーとジョニー   ふたつの作品を比べながら見るのも 悪くないですよ



  1. 2012/01/09(月) 03:12:23 |
  2. URL |
  3. zebra #ngCqAwRo
  4. [ 編集 ]

>>zebraさん

 はじめまして!コメントありがとうございます!!

 女性からすればランディの行動は「なんでこんなことするの!?」って怒ってしまうだけで、まったく理解できないと思うんですよね。逆に男からすれば、確かに酷い、絶対に良くない行動なんですが、変なプライドというかなんと言うか、その心には共感できる部分が少なからずあると思います。不器用な男であればあるほどランディに共感してしまうのでないでしょうか?

 本当に、酷いやつなんだけど、良いやつなんですよね。

 『ホームボーイ』自分は未見です!今度探してみます!!教えていただいてありがとうございます!!
  1. 2012/01/15(日) 18:21:03 |
  2. URL |
  3. 成川ジロー #-
  4. [ 編集 ]

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Author:成川ジロー
暴力は嫌い。
お酒も嫌い。
女性に弱い。
お金は無い。
誠意はある。

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