成川ジローの愛すべき○○ブログ(ネタバレあり)

管理人である成川ジローが愛すべき映画やアニメを格闘技、プロレスに絡めたりもして語るブログ。

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劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ

 レートショーでも安くならない映画館があるんですね。。。知らなかったよ。



邦題『劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ』
2011/日本/89分
監督 入江悠
出演 二階堂ふみ、森下くるみ、坂本達哉、劔樹人、堀部圭亮、野間口徹、神聖かまってちゃん(の子 mono ちばぎん みさこ)

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 神聖かまってちゃんにとって、今までで一番でかいハコでのライブの日まで1週間。
 将棋のアマチュア大会を順調に勝ち進み、決勝戦を控えるのみとなった美知子は将来将棋のプロになることを決意するが、その将棋の決勝の日が彼氏に誘われた神聖かまってちゃんライブと被ってしまったりして、彼氏や親の理解は全く得られず、孤立してしまう。
 かまってちゃんのネット配信を見るのが大好きな涼太は、幼稚園でもパソコンを放さず、かまってちゃんの歌を友人に教えて合唱し、その歌詞が「死にたいなぁー」のような物騒な歌詞であったため問題となり、シングルマザーで昼は清掃、夜はポールダンサーとして働く母のかおりは仕事に追われながらも幼稚園に呼び出され、色々な事が上手くいかずに苦しんでいた。
 神聖かまってちゃんのマネージャーであるツルギは、上司から神聖かまってちゃんの売り出し方について自分の抱くイメージとは全然違った売り出し方を提案され、バンドメンバーにも上手く相談できず、一人悩んでいた。
 それぞれの悩みを抱える三人の人間が、神聖かまってちゃんに動かされる群像劇。


 最初にはっきり言っておくと、あらすじを書くのが難しいくらいそれぞれの状況が全然かまってちゃんと関わっていなかったり、それぞれとも関わる事が無いので、どう考えても脚本に難がある。そこはとても惜しい。
 神聖かまってちゃんの存在の描き方もちょっとおかしいと思う。自分はそこまで神聖かまってちゃんが好きと言うわけではないが、曲は好きだし、特にタイトルにもなっている「ロックンロールは鳴り止まないっ」と言う曲は確かに感動させるパワーのある曲なんだが、劇中かまってちゃんと言うバンドが過度に描写されてて、伝説のバンドみたいになってる。ビートルズみたいな描かれ方というのは言いすぎだけど、ほんとおかしいくらいに伝説的に描かれている。正直、まだそこまで映画でやるほどのバンドでは無いと思う。サザンやB'z、ラルク辺りの大御所でも映画作ったときこんな描かれ方しないと思うんだけどな(^^;

 とりあえず主人公達とそれぞのエピソードを紹介していく。

 (たぶん)一番主人公ポジションにいる、プロ棋士を目指すロックな女子高生、美知子。二階堂ふみ。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000024106

 プロ棋士を目指している事によって、友人や彼氏、家族との間に軋轢が生まれている、悩み多き女子高生。
 二階堂ふみさんという人は有名な人なのかな?自分は全然知らなかったけど。
 まず、この人を悩み多き不幸な人にするための周囲の人物設定がおかしい。これでもか!って言うくらい将棋に対して無知ってのもあるけど、とにかく馬鹿ばかり。

 まず彼氏、「恥ずかしいなぁ、彼女が将棋のプロってて」って言う台詞は本心で言ってるの?その感覚が全く理解できない。滅茶苦茶格好良いと思うのだが……その前の「将棋にプロなんてあるの?」みたいな台詞もマジで言ってるのかこいつ?と疑問に思ってしまった。今の高校生って将棋のプロがいる事を知らないの?そうだとしたらジェネレーションギャップだなぁ……こいつはよりによって映画内唯一の美知子の友人の女の子と浮気するんだけど、こういうクソ野郎からこの映画のメインタイトルにもなってる神聖かまってちゃんのCDを借りて、その影響を受けて決勝戦に望むみたいな展開は欠陥だと思うんだけど……普通に最後何の制裁も受けずにライブ楽しんでるからねこの人。それで良いのか?(^^;
 美知子に蹴られるシーン2度あるんだけど、それもぬるい。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000034440

 ザ・無防備www蹴られた後悪態ついてるんだが、そういう態度を取るんだったら反応するだろ。なんで二回とも無防備で突っ立ってんだよ。こんなんならもっとコミカルにしたほうがよかった。ドロップキックさせとくべきだよなぁ。もしくはエンズイギリとかか。とにかくこの浮気シーンは滅茶苦茶完成度が低いと思う。この後の自転車のシーンは凄く良いんだけどね。

 次に親父。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000028084

 「大学行かないのなら自分で金稼げ」って娘を家から追い出そうとするってのは、いったいどんな教育方針なんだろう……しかもこの家にはおそらくこの親の教育方針のせいで引き篭もりになってしまった兄がいる。息子が引き篭もってる状態で、娘を説得もせずに一方的に大学行きを強制しようとして追い出そうとするってのは恐ろしく現実味の無い話で、普通に冷めてしまった。無いでしょ。普通は「大学行きながらでも、将棋は続けられるでしょ」とか、そういう説得があるもんだと思うけど……最近の親ってこんなんばかりなの?
 美知子が引き篭もりの兄とドア越しに目隠し将棋をやるシーンは凄い良い。凄い好き。このシーンのためだけにプロ棋士目指す女の子を主人公にした甲斐はあったとは思う。そこに神聖かまってちゃんを全く絡めることができてない事が同時にこの映画の最大の欠点なんだけれど。

 あと、これはどうでも良いかもしれないが、将棋に勝ったときの美知子のガッツポーズ。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000084664

 おそらくこれを見た人は可愛いと思うんだろうけど、自分にはどう考えても



 これが元ネタにしか見えなくて、こっちの方が全然可愛くて、なんとも微妙だった。もうこっちの方はある意味僕の理想です笑 こういうのを萌と言うのだろう。

 悪い癖ではあるんだけど、将棋大会のシーン。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000021198

 なんでか三脚使ってなくて、掲げてあるタイトルが上下に揺れてとても気持ち悪い絵になってた。別に心理を描こうとかそういうシーンでも無いところも。撮影時に三脚忘れたのだろうか?




 2人目の主人公は、バツイチポールダンサーのかおり。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000043098

 仕事も私生活も上手く行かず、子供にも振り回されてせっぱつまってる人。予告編から撮った画像ではバツイチ寸前って書いてあるから、劇中にあったのは離婚届にサインしろってシーンだったのかな?普通に既にわかれてるもんだと思ってました。鬱屈した感じはまんま『レスラー』のマリサ・トメイだなぁと思った。こっちの方が若いからか、哀愁というか、切なさみたいのは感じなかったけど。
 元AV女優らしいです。全然わからん。まぁ演技はあんまり上手くないと思った。

 この人もほとんどかまってちゃんとは絡まず、息子の方が絡む。
 息子の涼太。坂本達哉。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000048051

 黄色い服の子供。ミニノートPCを肌身離さず持ち歩く子供。保育園の年でミニノート使いこなしてニコニコ動画でコメントするって……今の時代の子供ってこんなにませてるの?(^^; 
 とにかくこの子はかまってちゃんが大好きで、保育園の友人達を集めてかまってちゃんの歌を合唱してしまう。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000052363

 画像の通り、立派に指揮までしている。これは素晴らしい事だと思う。保育園の友人を自主的にここまで集めて組織化して合唱するなんて、この子のリーダーシップマジでヤバイ。この歌の歌詞があんまり良くないって言うんで問題になってかおりが呼び出されるんだが、俺が先生だったら褒めるけどね。誰にでもできる事じゃないですよこれ。別にPCいじって内に引き篭もってる訳じゃないし、素晴らしいと思う。
 この子供が起こした合唱事件がきっかけでかおりはかまってちゃんに出会う……ってわけでもないよねこれ。子供がよく聞いてる曲をなんとなくちょっと覚えてしまっていて、それでたまたま同じ職場のダンサーが控え室でユーストリーム聞いてて、それを見てなんか凄いはまっちゃってテンション上がっちゃって、吹っ切れた感じでダンス頑張れる!って言う……やっぱりどう考えてもずいぶん滅茶苦茶な脚本だよこれ(^^;??


 3人目の主人公はかまってちゃんのマネージャーのツルギ。本人らしい。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000036446

 唯一直接的にかまってちゃんと関係のある主人公。かまってちゃんと、その売り方を変えてメジャーデビューさせようと言ってくる上司との間で板ばさみになって悩むのだが……なんとこのマネージャー、武道館ライブもいけるよ!って言う大事な大事な話を最後までかまってちゃんメンバーに一切伝えず、自分だけで勝手にイメージが違うと悩み続け終いにはその話を握りつぶすと言う、最低最悪の行動を取る。なんでだよ!?ポスターはどっかに置き忘れて、それをメンバーが見て……って言う一悶着の伏線アイテムかと思ったがなんでもなかった。
 かまってちゃんメンバーにどう伝えればわからなくて悩みながらそれとなく「生活困ってない?」とか聞くシーンは面白かったけど、話はちゃんとメンバーに降ろせよ。かまってちゃんを私物化してる。これ実話が元とかじゃないよね笑
 ツルギさん本人であるらしいんだけど、この人割と演技上手かったように思えた。

 神聖かまってちゃんメンバー。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000077645

 の子はほとんど出番(演技)無し。他のメンバーは台詞喋らせられてる感はとても感じだけど、MONOはなんか凄い良かった。ツルギさんとのやり取りが良い。

 応援ソングにしろ!と無茶を言う上司役の堀部圭亮。

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000072992

 最近ちょくちょく映画で見かけるようになったな。ウリナリの中の芸人の堀部のファンでした。『クライマーズハイ』のときの演技は凄い良かったけど、今回はなんか微妙だった。


 んで、とりあえずこの3人がそれぞれ悩みを抱えながらもライブの日を迎えるんだけど……

『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』予告編.mp4_000007120

 ライブとしては良いよ。映画館の音響で聞けたのも良い。だけどさ、どう考えてもこのライブ見て3人が悩み乗り越えて元気になるみたいな展開に無理があるのよ。

 美知子は決勝戦でピンチになるけどどうにか勝つ感じなんだけど、本当にここに関してはかまってちゃんが一切絡んでない。ただ大会までに彼氏が浮気したりして親とも喧嘩して嫌な事ばかりでコンディション最悪だったけどどうにか自力で勝てましたというだけの話。物語の欠陥。どうせならハチワンダイバーの獣人右角ばりにイヤホンで音量MAXにしてユーストリームのライブ中継聞いてパワーアップするとか(審判に止めさせられるだろうけど)やらないと話にならないでしょ。
 しかも家ではCDを聞いたのかユーストリーム見たのかわからないけど、そのタイミングで引き篭もりの兄貴出てきちゃってるし。これが一番酷い。んなわけわるかい。かまってちゃんの音楽聞いてたら一日もかからないで引き篭もりも直りましたって、進研ゼミの漫画でもこんな事無いぞ。この展開だと結果的に引き篭もりへの応援ソングになっちゃってるけど、それも良いのか?
 自分だったら、せめて、娘に強く言ってしまった事を後悔した親父に将棋盤を兄貴の部屋の前に持って行かせ、そこで兄貴とドア越しに将棋を指そうとして一手指し、ドア越しに兄貴の一手の声が返ってくる展開で終わらせる。まぁこれでも結局かまってちゃん絡められてないけどさ。とりあえず出てくるのはない。

 ダンサーのかおりも、ユースト見て元気もらった感じになってるけど、これも意味わからんよな。観てて普通になんで?ってなった。どうせならかまってちゃんの曲かけて、客のブーイングとマネージャーの制止を振り切って見事に踊りきっていつの間にか客のブーイングとか止んでたみたいにして欲しかった。物凄い中途半端。
 保育園の先生もユーストリームで見て、何かを感じ入る顔。何が言いたいんだろう?こんなにもこのライブが凄かったんだ!って言いたいのかな?

 んでまさか、堀部もかまってちゃんのライブ見て何か納得した顔して頷くとかね。もう。なんなんだよこの展開は?
 神聖かまってちゃんのライブが凄くて、それを聞いとけば全部上手く行く!みたいなごり押しな展開。まぁ実際美知子はそういう展開ですらなかったけど。
 三者がかまってちゃんに惹かれる共通点とか描いて欲しかった。あと、微妙にそれぞれの話をクロスさせたら面白いのになあ。イーサン・ハント、ドン・チードル、リチャード・ギアの『クロッシング』みたいに最後にちょこっとだけでも良いからさ。そういうことしないと、互いに絡みが無いと群像劇って成り立たないんじゃないだろうか?

 細部の詰めが甘すぎる、自主映画っぽい映画。わざとふざけて話つくってんのかとも思ったが?そういう訳でもないと思う。『サイタマノラッパー』観てないから、これがこの監督の力量なのかどうかわからないが、もっと頑張らなきゃ駄目だろとしか言いようが無い。部分部分光るところはあるけど全体としてまとまりが無くてお粗末。

 神聖かまってちゃんの曲、特にロックンロールは鳴り止まないっは本当に良い曲だと思うし、凄い勢いのある曲だと思う。その曲の力に支えられた作品。それが無かったらどうにもならない。
 神聖かまってちゃんの説明とか、ライブがどう凄かったのかとか、そういう説明も一切無いので、最初から神聖かまってちゃんをちゃんと知ってる人向きかもしれない。


愛すべき名場面
○引き篭もりの兄とドア越しに将棋を指すシーン
○ライブ

愛すべき名台詞
なし

評価
★★☆
(★ 五つが最高。☆は0,5点)

予告編↓
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2011/05/31(火) 21:54:11|
  2. 映画-邦画
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悪人

 高田馬場にある早稲田松竹にて『悪人』と『ヒーローショー』の二本立てでやっていたのを鑑賞。見たいみたいと思っていながらも映画館に行き損ねていたので、劇場で見る機会に恵まれてよかった。かなり期待して行った。


邦題『悪人』
2010/日本/139分
監督 李相日
出演 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、塩見三省、池内万作、光石研、余貴美子、松尾スズキ、永山絢斗、樹木希林、柄本明

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 土木作業員である清水祐一は保険外交員の石橋佳乃と出会い系サイトで出会い、援助交際の様なことをやっていた。ある日清水は佳乃に会いに来るが、佳乃は清水を馬鹿にするかのように目の前で別の男、大学生である増尾圭吾の車に乗り、何処かへ行ってしまう。翌日、死体となって発見された佳乃。行方をくらましている増尾が犯人と疑われ、警察の捜査が続けられるも、増尾が見つかり真犯人が別にいる事がわかり、今度は清水に疑いがかけられる。その頃清水は出会い系サイトで知り合った別の女性、紳士服店の店員である馬込光代と出会い、最初こそ酷い出会いとなってしまったものの、お互いの心情を吐露し、心を通わせていた。しかし清水は自分に嫌疑がかけられている事を知ると強引に光代を連れて逃避行をする。

 『69 sixty nine』や『スクラップ・ヘブン』、『フラガール』の李相日監督による、吉田修一の小説『悪人』の映画化。この映画と『告白』が去年の邦画のツートップだと思う。どっちも他を引き離したバツグンの良さがある。まぁ他って言ってもあんまり見てない気もするけどね(^^;見たとしても『十三人の刺客』とか、毛色の違うものだし。この二つは簡単に言ってしまえばかなり重いドラマ。個人的には『告白』の方が自分にはかなりはまっていて好きなんだけど、自分の周りにはこっちの方が好きな人が多いっぽい。とても丁寧で良い作品であることはわかる。こっちの方がとても王道な作品で、あっちは異色作ではあるから、『告白』を受けつけない人がいるってのもわかる。多分万人に良いと思われるのが『悪人』で、一部に熱狂的に好かれるのが『告白』なんだろう。あと、何でか『告白』の方はもう一回見たいと思うんだけど、こっちは一回見たいとは思わないんだよね。

 ポスターにはこの映画のテーマとも言える言葉、「誰が本当の"悪人"なのか?」と書かれている。もちろん一番その問題に晒されるのは主人公なんだけど、この映画に出てくるのはある意味ほとんどの人間が悪人と言える。誰もが悪人になりうる、そしてそういう人のエゴを炙り出したような描き方をしている。人の悪の部分を真っ直ぐ描いた秀作だと思う。

 そんな映画の中心に置かれる主人公の清水祐一。演じるのは妻夫木聡。

妻夫木

 画像暗くてすいません。援助交際相手の佳乃を結果的に殺してしまう。悪人と言うより、ひたすら運の無い、可哀想な人と言う印象が強い。何をしても上手くいかない貧乏くじを引きまくるときって誰にでもあると思うんだけど、そういうのが一気に来て、上手く捌く事ができずに奈落に落ちてしまった感じ。まだ若いのに車くらいしか遊ぶものが無く、金があるわけでもなく、家の状況的に何かを試す事もできず、夢があるわけでもなく、にっちもさっちもいかない。このまま年をとると『最強伝説黒沢』になってしまうだろう状況。光代の存在だけが救いだったかな。この人がしたことは殺人であり、その行為は悪だけれど、見た人は何か肩を持ってあげたくなる。悪い人じゃないけど、殺人者であるから悪人となる。
 金髪に凄い違和感を感じたけど、演技は断然良い。割と無口な感じの役で台詞は少ないけどその境遇やどうしようもない気持ちは演技で伝わってくる。方言も、自分はそっちの人ではないけど、しっかりしてるように思えた。


 清水と共に逃避行を続ける馬込光代。深津絵里。

深津

 とても真面目な女性。なんか今まで男と縁が無く、何かしらんが一念発起して出会い系にマジに健全な出会いを求めるという、間違った方向に勇気を出してしまった結果清水と出会ってしまった。もうちょっと早く出会っていたら……とも思ったけど、事件前に出会ってても清水に相手にされなかった気もする。タイミングが良いんだか悪いんだか。
 凄い良い。主演の妻夫木くんよりも良かったかもしれない。なんか見入ってしまう。生々しい感情を表現するのが凄い上手いと思った。

 物語の中盤からこの二人の逃避行が始まる。そういえば『マジックアワー』でもちょっとカップル演じたりしてて、色々わらかしてくれたこの二人ですが、当たり前だけど『マジックアワー』とは正反対で重々しくて息が詰まる逃避行。
 そこで清水が自分のしてしまった事を告白する、この映画のハイライトとも言うべきシーンがあるのだが、

告白シーン1
告白シーン2

 凄いよかった。空気を読まずに途中で料理持ってくる店員も笑
 苦しみながら吐き出す妻夫木も良いし、動揺する深津絵里も良い。自然と見入ってしまう。同時上映の『ヒーローショー』にも同じようなシーンがあるのだが、あっちは色々と問題がありすぎて、こっちの方が圧倒的に良い。当たり前だけども。

 特に色々な場所に行くわけでもなく、ある特定の場所に向かい、そこでどうにか生活しようとする、逃避行と言うにはは少し違うのかもしれないけど、やっぱり先に光見えないって言うのはとても苦しいね。どうしようもなさが凄い伝わってくる。見てて可哀相になってくる二人。自分が無理に連れまわしていた事にするために見せた清水の最後の優しさ(泣きながらキスをして首を絞める)とか、ありがちって言えばそうなんだけど、切ないというか、物悲しいものがある。
 

 周りを固める役者さんたちも凄い良かった。
 佳乃を山中に放置した調子の良い大学生、増尾。岡田将生。

 岡田

 格好付ける事にしか興味が無いと言うか、本当に調子こいてるダサい大学生。佳乃を車内から蹴飛ばして降ろして放置して帰っちゃうクソ野郎。下種ってこういう人の事言うんだろう。でも、こういう人本当にいそう笑 大学生がみんなこうなのかって言われたら絶対違うんだけども、一時期あったスーパーフリーの人とかこんな感じなんだと思う。

岡田外道

 かなり近くの人が死んでるのにそれを茶化して大騒ぎしちゃったりする。周りの友人もアホ。一人は良いヤツなんだけど。
 『告白』の方にも出てたけど、とても良い。ああいう熱血教師も、こういうダサい学生も、どっちも良かった。あっちはちょっと現実離れしたキャラクターで、こっちは生々しいキャラクターで、ある意味両極端。作品としての質もそんな感じあるかもしれない。


 清水に殺された石橋佳乃。満島ひかり。

福島

 被害者であるが、この人もこの人で援助交際はやるわ、むしろ金をガンガン要求するわ、終いには清水を脅す、殺されても仕方ないラインに踏み込んでた人。まぁいきなり増尾に蹴飛ばされて混乱してたって事もあるんだけど、こういう自分の事しか考えてない自分勝手過ぎる人ってのもいそう。下種とは言わないけど、クソだとは思う。
 自分は知らない役者さんだった。一緒に見に行った人曰く有名な人らしい。

 この二人は、人間の悪い部分を目立たせて描かれた誘導的なキャラクターだけど、本当にいそうで存在が生々しくて、ちょっと怖くなった。


 被害者、佳乃の父親、石橋佳男。榎本明。

榎本

 当日に佳乃と会ってて、色んな事に納得できなくて増尾に会いに行く。ただ、捜査が進めば携帯のメールから娘が援助交際やってたり金を要求してたりするのがわかっちゃうんだよね。
 いつも脇を固める榎本明だが、一番良かった。自分が今までに見てきた榎本明としても、この映画のキャラクターとしても。スパナを持って増尾に大切な人の事を語るシーンとかとても良い。


 加害者清水の育ての親であり祖母の房枝。樹木希林。

危機

 自分の孫が殺人者であることを上手く飲み込めず、マスコミに翻弄され混乱する祖母。この人が頭を下げるシーンは正解と言うか、それしかないと思った。『半落ち』ではこの人にもらい泣きして泣かされたんだが、今回もこの人に泣かされそうになった。
 『半落ち』『リターナー』『下妻物語』くらいでしか見てなかったので、久しぶりに映画で樹木希林を見た気がする。

 この二人は増尾と佳乃とは逆に、悪人に翻弄されてしまう善人として描かれているように思えた。二人とも本当に良い演技してる。主役二人と共に日本アカデミー賞の役者賞を独占するのもわからなくはない。

 ちょっとだけ出てくる、清水の母親役の徐貴美子も、思いっきりエゴを強調したキャラクターだったけど、よかった。

徐

 自分の実の息子を育てるのを放棄し、あまりにも酷いやり方で捨てといて祖母に「ほんと、良く育ててくれたよ」みたいな嫌味を平気で言える、無責任とかそういうのがわかってない、ちょっとおかしい人。こういう人もほんとたくさんいるよね。
 あれだけの登場シーンでこんなにも嫌なやつだってわからせるのは凄い笑


 ちなみに音楽も日本アカデミー賞を受賞してるんだけど、自分はこの映画での音楽が全然記憶に残っていない。役者たちに見入ってしまったのかもしれないが、久石譲らしさが全くわからなかった。他の作品では割と記憶に残る音楽ばかりつくってるんだけど、なんでだろう……


 監督の李相日。『青~chong~』『69 sixty nine』『スクラップ・ヘブン』『フラガール』と、『BORDER LINE』以外の作品は全部見てるんだけど、今回この作品で良くも悪くも青臭さが無くなったという印象を受けた。『悪人』が特にと言うだけなのかもしれないけど、すごいカッチリした感じ。まぁ良い役者、良い原作、良い作曲者、そして良い監督のこの作品だからカッチリするのは当たり前なのかもしれないけど、個人的には青臭さが好きだったから、この次の作品がどうなるのかとても気になる。一番好きなのは『スクラップ・ヘブン』なんですけどね。もうああいうのは撮れないんじゃないかとも思う。

 テーマみたいになってるある人が悪人か善人かと言う問題は、人類は善か悪か、性善説と性悪説どちらが正しいかと言うようなものに等しい無謀な議題であって、悪人の面もあり善人の面もあるとしか言えない。人間と言うのはある気持ち、ある感情、ある状態を永遠に保つ事のできない生き物であり、なおかつ頭が良く物凄い多種多様な考え方のできる生き物だから、悪の面と善の面は当たり前に混在する。さらに言えばその善とは何か?悪とは何か?人間の尺度で良いのか?など、様々な問題が出てくるので本当に難しい。行動に評価をつけるしかない。
 だから、一応この主人公清水は、その背景に何があろうともとにかく殺人を犯した人物であり、答えとしては悪人となってしまう。ラストに深津絵里が言うように、世間的には清水は悪人である。だが、この映画を見た人は清水を「悪人だ!」と非難する気にはきっとなれないだろうし、本当に悪人なのだろうか?と考えてしまう事もあると思う。それが狙いと言うか、何を以って悪人とするのか、何を以って悪とするのか考えさせる作品になっている。だから、脆弱な答えしか出せない問題と言うか、なんと言うか、人間の決める判断とか尺度って、立ち位置を変えたりするだけで簡単に変わる、本当に曖昧で不安定でわからない、難しいものなんだなぁって思う。でもそんな事わかりながらも社会としては尺度は決めなきゃならないからね。大変だ。

 あのとき清水が佳乃を殺さなかったら、どうなっていたんだろうとは考える。そんな起こってしまった事をあれこれ考えるのは時間の無駄なんだけど、冷静に考えると佳乃が「(清水に)レイプされた!」って警察に言っても、二人でいちゃいちゃしてる映像と金を要求してる佳乃のメールとか、携帯電話に残ってる佳乃に不利な部分がたくさんあるから清水は捕まらない気もするし、ほとぼり冷めたら自分の惨めさに気付いた佳乃は警察にそんなこと言わないとも考えられる。でも、清水はいきなりあんな事言われたら冷静な判断なんてできないだろうし……避けられない事件だったのかね?まぁ起こってしまったんだからどうしようもないんですけども。


 あと、あんまり顔がちゃんと写るシーンないんだけど松尾スズキが出てる。

松尾

 まさか詐欺師とは思わなかったぜ笑 まぁこの人もわかりやすく善人の皮を被ってる悪人と言うキャラ。うちの地元でもおじいさんおばあさんを大量に集めてたまになんかの講演会だか実演販売だかをやってるのを見かけるんだけど、大丈夫だろうか……?


 とりあえず見て損は無い作品だと思う。完成度も高い。何度も見たいとは思わなかったけど、邦画のドラマの最高峰だとは思う。


愛すべき名場面
○清水の告白シーン
○佳男が増尾を問い詰めるシーン
○佳男が増尾の飲み会に乱入するシーンとその後の永山くんのスパナ
○房枝がお金を取り返しに行くシーン
○房枝がマスコミに頭を下げるシーン
○清水が灯台で光代に一緒にいると辛い気持ちになると言う事を告白するシーン
○逮捕される直前の清水の光代絞殺未遂のシーン

愛すべき名台詞
○あんたには大切な人はおるね?その人の幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなるような人ですたい……アイツ(娘)にもおらんと思います。おらん人間が多すぎるのよ。今の世の中大切な人がおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできるとと思い込む。自分には失うものがなかっち、それで強うなった気になっとる。失うものもなければ欲しいものも無いだけんやろ。自分を余裕のある人間っち思い込んで失ったり欲しがったり、一喜一憂する人間を馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当は、それじゃ駄目とよ……
○俺は光代が思うとるような人間じゃなか

評価
★★★★☆
(★ 五つが最高。☆は0,5点)



悪人 スタンダード・エディション [DVD]悪人 スタンダード・エディション [DVD]
(2011/03/18)
妻夫木 聡、深津絵里 他

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  1. 2011/05/08(日) 16:10:32|
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ヒーローショー

 高田馬場にある早稲田松竹という二本立て映画館で『悪人』と『ヒーローショー』を鑑賞してきました。どちらも真面目な映画だと思ってました。特に『ヒーローショー』の方は暴力を描いた作品と言う事を聞いていて、自分のとても興味のあるテーマなので期待していたのですが、『悪人』の後に見たせいか馬鹿でふざけた映画にしか見えませんでした。『悪人』が普通に良すぎたのかもしれませんが、これを二本立てでやるのは『ヒーローショー』に悪い影響があるような気がしてならない……(^^;
 とりあえず基本的にこけおろすレビューの書き方しますんで、『ヒーローショー』を好きな方は見ないでください。

邦題『ヒーローショー』
2010/日本/134分
監督 井筒和幸
出演 後藤淳平、福徳秀介、ちすん、桜木涼介、松永隼、米原幸佑、林剛史、阿部亮平、落合扶樹

ぽすた

 吉本の養成所を卒業し、「M-1で優勝して1000万勝ち取る!」と口だけは威勢が良いが、実際は仕事もサボり気味で何することもなくだらだら過ごしているユウキ。ある日養成所の元相方である剛志がやってきて、強引に剛史がやっているヒーローショーのアルバイトに入れられる。しぶしぶ従うユウキだったが、ある日剛史とバイト仲間のノボルが女を巡って喧嘩を始め、ユウキは何やらわからぬうちに巻き込まれ、喧嘩は一旦収まったものの怒りの収まらない剛史がチンピラ仲間の鬼丸に声をかけ、ノボルやその友人のツトムに暴行を加え、脅し、金を要求する。巻き添えになってしまったツトムは兄のタクヤに相談し、タクヤはそいつらを退治しようと地元の元自衛官の友人、勇気に声をかけ、剛史、鬼丸、ユウキを呼び出して制裁を加えることに成功する。しかし、制裁の暴力はエスカレートしていき、ついに死人が出てしまう。そんな中同じ名前からかユウキと勇気は微妙な友情が芽生え始め……。


 暴力をテーマする映画に必要不可欠なものはリアリティ。これはマジ。簡単に言うと、銃で撃たれたら死ぬor重傷を負うというようなとてもリアルなダメージの描写。当たり前の事だけど、エンタメ系アクション映画では軽んじられている事が多い。しかし暴力をテーマにするならばそういうのは突き詰めなければならない。そうしないと暴力(笑)になってしまう。真摯な姿勢とは言えないおふざけになってしまう。
 ポスターに「圧倒的なリアリティ」とか書かれてますけど、この映画には暴力のリアリティなんてものは一切ありません。ほんと酷いレベルです。苦笑あるいは失笑のレベルです。リアリティ(笑)まぁリアリティが無いのは暴力に限らないんだけども、この映画がリアリティを誇るって言うのは本当にふざけたことだと思います。ってかこの映画を見てリアルだなぁとか思う人いないだろ。誰がこんな脚本書いたんだ?それとも監督?登場人物が全員頭が悪いアホなので、まず教官はできないし、脚本から頭の悪さも伝わってくるし、ふざけてんのか?と思う。役者はとても頑張っているんだが、いかんせん脚本の酷さを拭えてない。もったいないと思うことも多々。
 ある本当に起こった事件を元にしてあるからそれでリアリティとか言ってるのかもしれないが、だったらそのまま作った方が良かったな。脚色したところ、演出したところ、全てが余計でリアリティを思いっきり崩している。ここまで失敗してるのも珍しいなと思う。


 よく知らないんだけど、主演のお笑い芸人ジャルジャルの二人は頑張ってたよ。
 主人公の鈴木ユウキ。福徳秀介。

おわらいゆうき

 でかい事を言って実際は何もしない、楽して稼ぎたいと思っている絵に描いたような駄目人間。妹と二人で暮らしているのだが、その妹は二次元(笑)。実際お笑い芸人(志望)と言う設定は一切活かされていない。途中の子供を呼ぶところも、警察に止められたのを演技して振り切るところも、お笑い芸人(志望)である事となんら関係が無い。そこら辺をこいつ特有のスキルによって役に立つように描くべきだと思うんだが……あれで良いの?吉本の協力の下だから、吉本に「主人公の設定はお笑い芸人ってことにしてください」とか言われたりしたのかな?
 映画初主演って事だけどとても頑張っている。消費者金融の後の「見殺しにしてごめんなさい!」の恐慌状態になるシーンは中々良かった。

ごめんなさい

 個人的には一番良かったシーン。後は最後の方で剛志の幻覚見るシーンも良いかな。


 もう一人の主人公、石川勇気。後藤淳平。

元自衛隊ゆうき

 元自衛官で腕っ節の強い頼れる兄貴……らしいんだが、完全なミス設定でどう見ても強そうに見えず、毎日腕立て100回腹筋1000回やってると言う台詞の嘘臭さや暴力行為の素人っぽさ、結局最後にはチンピラ1人に半殺しにされてしまう弱さなど、井筒監督は自衛隊に恨みでもあるのか?っていうような酷い描かれ方。任期で自衛隊を除隊したのか、途中で辛くて辞めてしまったのか?レンジャーって確か超エリートなんだけど、「レンジャー訓練」云々って台詞があったから、この人は優秀な自衛官だったのかな?でもそんなエリートっぽさはないから、おそらく途中除隊ですよね。落ちこぼれなのかな?でも自衛隊ってそうそう任期以外での除隊なんてさせてくれないって聞いたんだけどな……自衛隊について何の知識も無い人間が脚本書いたのかな?(または設定)そのせいでよくわからん馬鹿になってしまった。脚本が馬鹿なのか監督が馬鹿なのかわからないです。元自衛官って言う設定はいらなかったな。暴力の訓練を受けた人間であるはずなのに、暴力シーンで何の現実味も持たせられてないっていうね。
 母親がなんか若い男と付き合ってるんだが、その家庭の歪みから良い父親になりたいって言う思いに繋がるんだろうけど、馬鹿な友人に持ち上げられてリンチのリーダーになるヤツが良い父親になりたいとか言っても全然同情できない。
 この人もまぁ演技は頑張っていたけど、キャラに致命的なミスがあったからどうしようもない。この人が恋人に「人を殺してしまった」事を告白するシーンはこの映画の見せ場なんだろうけど、この映画の直前に見た『悪人』にも同じシーンがあって、妻夫木が普通に良かったから、どうしても比べちゃって……しかも妻夫木のキャラの方は同情の余地がまだあるんだけれど、この人の場合どう考えても自業自得だし、死んでしまうという結果が簡単に予想される行為を自ら率先してやってたので全然同情できなかった。『悪人』の方は殺す気が無かったと言うのはわかる気はするが、この人は調子に乗ってリンチしたら結果死んじゃいましたって様な事。馬鹿。


 勇気の恋人でバツイチ子持ちの江沢あさみ。ちすん。

あさみ

 勇気の恋人。関わり的なものは基本的にそれだけ。そんなに必要なキャラに思えない。勇気に人を殺した事の涙の告白をさせるためだけにいるキャラ。あと、この人の子供関連のエピソードがあってそれにユウキも巻き込まれるんだけどそれがもう本当に酷い。
 あさみは離婚した男との間に1人の子供がいて、親権を男側に取られてて子供に会いたくても会えない状態。そんな中男が死んでしまったと言う情報が入る。あさみは子供に会いたいがためだけに(特に男に対しては何も思ってない)葬儀に行くが、男側の家族に子供と会うのを許されず、追い出されてしまう。どうしようもなく途方に暮れていたあさみは、勇気とユウキの協力により子供と会い、鴨川シーワールドに遊びに連れて行くことに成功する。久しぶりに会い、子供と親交を深めたあさみはまた会う約束をして子供をこっそり男側の家に帰す。
 と言うお話。これふざけてるでしょ。脚本書いた人馬鹿でしょ。不謹慎極まりない上に、あさみのやっている事は完全な誘拐であり犯罪。逮捕されても文句言えない。(じっさい警察の検問に引っかかりかけるけど、そこは全然意味のわからないユウキの演技と警察のふざけた職務怠慢によって解放される。井筒監督は千葉県警にうらみでもあるのか?っていうくらい酷い描かれ方をしている)残念ながらあさみはこれから先、二度と子供に会えないかもしれないですね。あと、元夫が死んだ状況をチャンスと考えて子供を攫って鴨川シーワールドに遊びに行くあさみ。こういうのを不謹慎って言うんじゃないの??この映画の登場人物はほぼ全員モラルが欠けてるよ。
 ちすんって人は初めて見たんだけど、この映画の中じゃとても普通な女優だった気がする。
 

 勇気に報復を頼むツトムの兄のタクヤ。林剛史。

たくや

 詐欺会社の幹部だか社長だかをやっている、所謂DQNな兄ちゃん。鬼丸なんかよりもこいつの会社の方がよっぽどバックに暴力団が付いている気がする。親父が知事だかなんかをやっていて実家が裕福。このキャラも馬鹿も馬鹿で、極めつけは殺人が起きちゃって(どっちも死んでなかったっぽいけど。)これから死体を処理しようとしているところに、簡単に第三者を呼んで死体の処理を頼み、案の定口止め料を要求されるところ。正気ですか……?
 とても良い演技してた。調子こいた頭の悪い兄ちゃんを好演。あんまり覚えてないけど数ある迷言を残した気がする。「本気モードはいっちゃったよぉ」とか(笑)こんな感じの人いそう。良い。


 鬼丸、剛志に脅されたノボル(左)とツトム(右)。松永隼、米原幸佑。

ノボルとつとむ

 暴行を受け、金をもってこいと脅されるのだが、原因はノボルが剛志の女を寝取ったため。女とSEXして剛志に疑われているときにこれ見よがしに「あー腰いてえ」って言う。

レッド嫌味

 こんなドアホはぶん殴られて当然でしょ。女もクソだけど、はっきり言ってこいつもクソ野郎。自業自得でどっちもどっち。ただ巻き込まれただけのツトムは可哀想だけど、馬鹿な兄貴に相談してしまったのが運の尽きだった。
 全然知らない初めて見た人たち。普通。


 ユウキの元相方の剛志。桜木涼介。

元相方

 ぶれてるけど右の人ね。チンピラっぽい見た目だが格好だけで、ショーの最中にまさかの奇襲をかけたにも関わらずとてもとてもひょろいノボルに馬乗りになられてボコボコにされる超弱い人。強い鬼丸が近くにいると調子にノるどうしようもなくダサい人間。良い所は何一つ描かれてない気がする。後輩の面倒見は良いのかな?こういうタイプの先輩は自分は大嫌いだけども。だからかやっぱりこの人が死んでも悲しいとも悲惨とも残酷とも思えず、自業自得だよなとしか思えなかった。
 全然知らない初めて見た人。それなりに上手い役者なんじゃないかと思う。こういう役だけかもしれないけど。


 剛志のチンピラ仲間の鬼丸。阿部亮平。

鬼丸

 別に暴力団関係者とかではなく単なるサーファーショップの店員。柄がとても悪く、すぐ暴力振るうし、金脅し取ろうとすぐけど、実際この人が強いんだか弱いんだか全然わからない。異状にタフではある。そのタフさはリアリティ(笑)なんか弟役もいるんだけど、そっちの方が強いっぽい。なんで一緒に行かなかったんだろうね?鬼丸の弟は勇気より強い(ってか、勇気がたぶんクソ弱い。ラストの描写だとチンピラ1人に半殺しにされる元自衛官《笑》)そしたら何にも起こらず鬼丸軍団大勝利!で全部丸く収まったのに。
 『クローズZERO2』の鳳仙の的場闘志の人じゃないか!良い怖い顔してるよね。好きです。良いチンピラっぷり!


 一応これがメインキャラかな。前半はこいつらのやりとりで、真ん中に問題の制裁生き埋めシーンがあって後半はぐだぐだのロードムービーになる。中々ハチャメチャな展開。

 問題の暴力シーンは、ところどころにあるが、暴力をテーマにしてる割には本当に素人レベルのありえない描写ばかり。

 最初の暴力シーンは剛志とノボルの喧嘩。

暴力マウント

 グダグダやって唇から血が出るくらいで終わる。なんて迫力の無いマウントパンチなんだろう……どうみても殴るつもりで殴ってない。ショーの放送事故っぽい雰囲気にはちょっと笑ってしまった。

 次の暴力シーンは剛志が鬼丸とその弟を引き連れてノボルとツトムを専門学校(のようなところ)で脅すシーン。

暴力すね蹴り

 鬼丸弟による、まさかのツトムへのスネキック。しょぼすぎて吹いた。確かにそれは痛いよ。でもお前スネキックって……とりあえず周りに人がいすぎ。絶対に誰かしらが管理人さんに言って、管理人さんは警察を呼ぶ。でも何故かそうはならない。白昼堂々人がたくさんいるところでなにやってるんだよ。


 んでついにクライマックス(?)のノボル、ツトム、タクヤ、勇気、勇気の舎弟の5人による、鬼丸と剛志へのリンチ。ユウキも軽く殴られるが、ほとんど無関係だったので被害は少なかった。

集団暴力

 長く凄惨に描きたいのはわかるけど、何度も言うけどこのシーンのおふざけっぷりは本当に酷い。喧嘩に慣れているようには全く見えない勇気の身のこなしや、ゴルフクラブで何度も殴打され頭に金属バットのフルスイングを喰らっても生きてて、自力で逃げ、次の次の日には普通に歩いて報復に来るタフな鬼丸など。見るに耐えない。ゴルフクラブで人を殴ったら大怪我をする、打ち所によっては簡単に死んでしまう事を監督、脚本の人は知らないのだろうか?金属バットで頭をフルスイングされたらほぼ確実に死んでしまうとは監督、脚本の人は思わなかったのだろうか?ってかスタッフの誰かがここで「これはありえないでしょ」って突っ込まなかったのだろうか?どう考えても暴力に対する態度が不真面目極まりない描写。


 そして最後の暴力シーンとして鬼丸とその弟の勇気への報復があるのだが、正確に言えばシーンが無い。なんと描かれていないのである。おそらく借りたばかりでタクヤも知らないだろうユウキとあさみの秘密のアパートに突然包帯ぐるぐる巻きの鬼丸が弟を引き連れてやってきて、次のシーンではユウキはもう血まみれで倒れているのだが、そういう暴力の連鎖はちゃんと描かなきゃ駄目だと思う。そういうところを凄惨に描く事でリアリティってのが生まれて来るんだと思う。これではもはやギャグだ。しかも、普通に生きてるけどコレで鬼丸的には良いの?何がしたかったのよ???どうやってこのアパートを鬼丸たちが知ったのか?と言う問題、鬼丸の異状なタフさの問題、鬼丸弟に勝てない勇気の問題、などなど、問題だらけの最低のシーンである。おふざけにも程がある。


 問題があるシーンは他にもあり、鬼丸たちが乗ってきた車が事故ってしまい、タクヤが「車から足がついたら俺はおしまいだよー」とか勇気に泣き付くと言う展開があるんだが、その事故が整合性が無いと言うか、無理がある。どんだけご都合主義なんだよと。頭が悪い脚本。どうして監督はこの展開をOKとしちゃったの???


 ラストは勇気に「家に帰って実家を手伝え」と言われたからか、ユウキが実家に帰って両親がやってる屋台を手伝って終わると言う、監督が何を言いたいのか全然伝わらない終わり方。だってこれ、主人公が夢諦めて暴力事件に巻き込まれて東京は怖いところだってなって実家に泣き帰っただけでしょう。なんなのこれ?
 しかもエンディングテーマがピンクレディーのS.0.S.ってほんとにふざけすぎでしょ。逃げすぎ。最後の最後まで真面目にやってクソ映画なのか、ふざけてやってる映画なのか、判断がつきませんでした。タイトルも「ヒーローショー」で良いのか??
 主人公が抱える将来の不安と言うか、直視できない怖さと言うか、主人公が大切なモノは自分の命と答えてしまうシーは切ないというか、とても良い。こういうのなんていうんだろう。将来に対するただぼんやりとした不安?虚無?自分すら騙せてないのが悲しい。だけどそれでも何にもやれないのは主人公が駄目人間過ぎてちょっとね……暴力とか描かないで、そっちだけ描いてれば良い映画になったかもしれないのに。



 自分は現在24歳で、20年近く格闘技をやってきてる。少林寺拳法、柔道、ボクシング、総合格闘技などに触れてきた。武道である少林寺拳法を最初に習ったから護身の思想は身に付いているし、暴力に対して考える事も色々あるし、自分が描きたいテーマも暴力である。ってか良い出来ではないけど卒論も暴力論でやった。だから、暴力テーマにした映画であるのは楽しみだったし、見てみてこのように不真面目な描き方なのにリアリティとか言い出すこの映画は不愉快に感じるし、名のある監督がこんな映画を作っちゃう事がとても悲しい。暴力シーンを売りにしてるのにその暴力がハチャメチャなのは、それが井筒監督の世界観なのかな。

 とりあえず自分には真面目に観たら酷い映画にしか見えませんでした。ってか最後まで真面目に作ってるんだかふざけているんだか判断に困った。暴力の描写がおふざけレベルだから、ギャグとして見るならまだ楽しめるのかもしれないな……。


愛すべき名場面
○消費者金融のシーン
○幻覚を見るシーン

愛すべき名台詞
特に無し

評価
★☆
(★ 五つが最高。☆は0,5点)

予告編↓


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  1. 2011/05/08(日) 16:09:21|
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約三十の嘘

 自分が所属している劇団が今度やる演目だし、映画版の監督の大谷健太郎さんとは何度かお会いする機会があったのでこれは見なきゃと言う事で鑑賞。


邦題『約三十の嘘』
2004/日本/100分
監督 大谷健太郎
出演 椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、田辺誠一、八嶋智人、伴杏里

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 チームを組み、詐欺をやっていた志方、佐々木、久津内、宝田はそのときに現地でメンバーに入れた今井と須藤に稼いだ金を持ち逃げされ、バラバラになり、リーダーだった志方は不安定になってしまっていた。それから3年後、久津内の呼びかけでもう一度チームを組み、北海道で大掛かりな仕事をやることになった4人だったが、宝田が3年前には別のチームで詐欺をやっていた横山を連れてきて、さらに久津内は金を持ち逃げしたと思われていた今井を連れてきて波紋を呼び、それぞれ思うところがありながらもチームはトワイライト・エクスプレスに乗って北海道へ向かう事になる。そしてどうにか仕事を大成功させ、お金を得たチームだったが、帰りの列車の中で売り上げを入れていたトランクが消えてしまうという事件が起こる。

 簡単に言えば、詐欺師たちの嘘の付き合いの物語。元々は劇団MONOの舞台であり、それを映画化。舞台の方は詐欺師の嘘の付き合いの会話劇であるが、映画版は嘘の付き合いと言うよりも、会話劇と言うよりも、詐欺師たちの恋愛映画となった。そして主人公が宝田になった。これが良い方向に転んでいるか、悪い方向に転んでいるかは個人の好みによるところが大きいと思うが、とりあえず舞台と映画を別物にするという事には成功している。そのままだと映画にする意味が無いしね。嘘で話を作っていくゲームのシーンを丸々削ったり、志方が昔凄い人として有名だったという新エピソードや、久津内と横山のキャラを強めて今井との恋愛に絡めたのは英断だったと思う。
 
 とりあえず役者紹介。
 元リーダーの志方。椎名吉平。

しかた

 3年前の事が原因で、少しおかしくなってしまっている。
 少しどころか、最初の方とかところどころ異常者にしか見えないような……演出過剰な気がする(^^; その分最後の怒鳴るシーンとかに活きて来るってのはわかるとしても、やりすぎだと思う。この状態で実際に詐欺とかできないだろ。
 劇中で「一つの大きな嘘をつくと、そのために三十の小さな嘘をつかなくてはならない。だから大事な部分以外真実を言っていた方が楽なのさ。」って言ってたけど、タイトルってこういう意味だったの???


 一番チームのことを思っている宝田。中谷美紀。

たからだ

 佐々木から好意を抱かれている。
 映画版では実質この人が主人公。この人の恋愛感情は金よりも詐欺よりも優先される。ってかそりゃ無いでしょう!金持ってかれて良いのかよ!?本当にこの人詐欺のプロなの???って感じで納得がいかない。甘すぎるというか……本当にそれで良いの?


 志方を「死んだ」と言い張る佐々木。妻夫木聡。

つまぶき

 志方への憎しみと憧れの入り混じった思いは宝田への感情を含めて考えてみると中々面白いと思うんだけど、それがあんまり活かせてなかった気がする。企みに対する向き合い方がブレブレなのはわかるけど、本当に頭悪いしね。酒飲んで企みがバレるとか、ないわ。


 今回の仕事の絵を書いた久津内。田辺誠一。

くつない

 一見仕事ができそうだけど、駄目男。田辺誠一って格好良い役ばかりだと思ってたけど、こういう駄目男もかなり良いなぁ。今井への恋愛感情がある分、舞台版よりもキャラは濃くなった。ただ、その分不純になった笑 今井のことをパインちゃんって呼ぶのも面白い改変だった。
 

 宝田が連れて来た外部の男、横山。八嶋智人。

よこかわ

 宝田をババロワちゃんと呼び、今井をミルキーちゃんと呼ぶ、ちょっと変な人。ただ実力は十分らしく、仕事の途中から頼りない駄目男のリーダー久津内に代わり仕事の指揮を執る。
 舞台版も良いキャラしてるんだけど、さらにキャラが強くなって良くなった。惜しむらくはそのキャラの強さを物語のメインにあまり絡ませられなかったことだと思う。八嶋さんは本当に良かった。


 久津内と横山から求愛される今井。伴杏里。

いまい

 ボインちゃん。ミルキーちゃん。パインちゃん。呼び名がたくさんある笑
 この人だけ知らない役者さんだった。んで、このメンバーで比べられるのは酷ではあるけど、やっぱりこの人が一人演技上手くないのが目立ってしまっていて、終始なんだかなぁって感じ。ボインちゃんと言う事だけ理解しました。個人的な意見だけど、顔はあんまり可愛くない気がする。



 最初の方は大体舞台版と同じだが、後半は大分脚本が改稿されている。『約三十の嘘』には約三十の改稿があったとの噂らしいのだが、どうしても後半は甘いところが目立ってしまう。物語の方向性を変えたことは最初にも書いたとおり成功してるし、自分は良いと思っているんだけど、「志方がゴミ箱から鍵を取ってくるのがバレないと思ってる」「佐々木が仕事が終わったわけでもないのにお金をばら撒いて喜びに浸る」「佐々木が酒飲んでベロンベロンに酔っ払って宝田に企みがばれる」「誰かが盗んだって言う状況なのにお互いを見張る事が全く無い」などなど、こいつら絶対にプロの詐欺師じゃないって思っちゃう。許容できない穴がありすぎでしょ。素人だって思いつくような対策はせめてやってくれよ。こんなに頭が悪かったら詐欺師の仕事なんてできないよ。
 
 あと、どうせ変えちゃうなら詐欺のシーンもダイジェストみたいな形でささっと描いた方が良かったと思う。ゴンゾウの着ぐるみ出したんだから、踊ってるシーンも見たかったし、そこに時間を取れとは思わないが舞台との差別化のためにも、軽く描くべきだったと思う。

ゴンゾー

 ゴンゾウ実写化は嬉しいところなんだけどね。舞台版で言ってた台詞から自分が想像した通りのやっぱヤクザみたいなパンダだった笑


 ラスト、ハッピーエンドっぽく終わってるのは、結局こいつら詐欺の仕事なんてどうでも良いのか?って思っちゃうけど、それで良いのかな?お金よりも大切なものって確かにあるとは思うけど、この映画のラストにそれを持ってくるのは場違いな気がしてならない。詐欺師の映画でそれは違うんだと思う。

 舞台版とはちゃんと別物になり比べるのは野暮だが、話にちょっと問題があって名作とまでは行かない作品。楽しめる人もいなくは無いと思うけど、普通に共感できない部分が多いとも思う。

 ジャンルは恋愛映画だと思う。
 オープニングは格好良い。
 音楽のクレイジーケンバンドも、作品全体に合っていたかどうかは微妙なところな気がするけど、個人的に好き。


愛すべき名場面
○オープニング
○最後のタクシーと列車がすれ違うシーン。

愛すべき名台詞
○特になし

評価
★★★
(★ 五つが最高。☆は0,5点)

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  1. 2010/11/29(月) 22:03:46|
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十三人の刺客

 最近映画館で映画見れて無いなぁ……って思って平日に一人で勢いで見に行った。ネタバレあるよ。


邦題『十三人の刺客』
2010/日本/141分
監督 三池崇史
出演 役所広司、山田孝之、松方弘樹、沢村一樹、石垣佑磨、近藤公園、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、伊原剛志、古田新太、窪田正孝、伊勢谷友介、稲垣吾郎、市村正親、光石研、平幹二朗、松本幸四郎、斎藤工、谷村美月、吹石一恵、岸部一徳

十三人の刺客ポスター



 遠くない将来、幕府の中央権力を得る事が決定している暴君・松平斉韶は日々残虐な行いを続け、民は苦しんでいた。その様子を見兼ねた江戸幕府の老中・土井大炊頭利位は国の将来のため、松平斉韶を暗殺を決意。配下の島田新左衛門に命じ、島田の下に命を賭して暗殺を実行する13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いて暗殺に備えていたが、新左衛門は参勤交代の道中に通る宿場町の落合宿を丸々買い取り、待ち伏せをすることに。こうして、落合宿を舞台に13人vs300人の合戦が始まろうとしていた。


 予想通りの面白さ。これぞエンターテイメント時代劇って言うのを見せてくれる。『スモーキンエース』のページでも書いたけど、自分はこういう一癖も二癖もある連中が集まってさあ合戦だ!と言うのにてんで弱い。今回もその合戦までのワクワク感がハンパなく、その期待を裏切らない見事なクオリティとボリュームの合戦で大満足な映画だった。
 リメイクで、元の方は見てないんだけど今回の作品は面白く格好良くエログロい、三池っぽさが随所に出ていて、この人本当に凄いなと思わされる。三池作品は『DEAD OR ALIVE 犯罪者』『DEAD OR ALIVE 2 逃亡者』『DEAD OR ALIVE FINAL』『ゼブラーマン』『ヤッターマン』『クローズZERO』『クローズZERO Ⅱ』『探偵物語』『IZO』『龍が如く 劇場版』『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』と見ているが、この『13人の刺客』は個人的にはトップ3に入る。

 豪華な役者陣で注目されたけど、本当にみんな格好良くて良かった。予告編だと映って無い人も多々いるので、紹介サイトなどから画像引っ張ってきました。


 暗殺を命じられる主人公の島田新左衛門(御目付七百五十石)。役所広司。

役所広司…島田新左衛門

 粘り強い事に定評のある侍。腕っ節も頭の良さも性格も◎な素晴らしい人材。
 役所広司って『バベル』『笑の大学』『どらへいた』くらいでしか見てないんだけど、良い役者だと思う。そんで『どらへいた』もそうだったんだけど、時代劇の役所広司の雰囲気はスゴい好き。なんか妙な安心感があるというか、台詞の言い方が癖になる。


 新左衛門の甥の島田新六郎。山田孝之。

山田孝之…島田新六郎

 酒を飲み、女遊びをし、博打を打ちながらも侍であることを捨てきれない不器用な男。新左衛門やその配下の平山九十郎は侍としての死に場所を探している感じがするけど、こいつの場合は生き場所を探している気がした。死亡フラグの様な台詞を妻に残していながらも侍として唯一生還する。
 三池組の傘下『クローズZERO』組からの参戦。『ウォーターボーイズ』のドラマのときはまだまだガキ臭かった気がするけど、『クローズZERO』シリーズを経て良い役者の貫禄が出てきた気がする。良い役者というか、個性派俳優なのかも知れない。ってか『クローズZERO』で高校生役やっててガキ臭さが抜けるってのも変な話だな笑


 新左衛門の部下の石塚利平(足軽)。波岡一喜。

波岡一喜…石塚利平

 斬り込み隊長と言う事で、刺客たちの先頭を走って敵を陽動したりする。
 自分の好きな役者さんで、この人も三池組傘下『クローズZERO』組より参戦。もっと目立って欲しかったけど、まぁ仕方ないか。人数多いし、豪華だし。


 新左衛門の部下の剣豪、平山九十郎。伊原剛志。

伊原剛志…平山九十郎

 剣の道のみを追求し、平和な世となった今武士としての死に場所を探し役所広司に拾われていた凄腕の武人。
 役の設定からしてそうなんだけど、圧倒的に格好良い。強い人のオーラが出てるというか、台詞なんてほとんどないけど、格好良い。


 九十郎の唯一の門弟、小倉庄次郎。窪田正孝。

窪田正孝…小倉庄次郎

 まだ若く、人を斬ったことがないが、たった一人の門弟だけあって剣の腕前は強い。この人知らない人だけど若々しくて、初めて人を斬ったときの表情とか普通に良かった。


 九十郎の友人で槍の達人の佐原平蔵。古田新太。

古田新太、佐原平蔵

 腕っ節は強く、それでいて場を和ませる事に長けている何処か飄々とした感じのある良いキャラ。グループに一人は欲しい。『七人の侍』で言う、「剣の腕はまず中の下。しかし誰からも好かれる人柄は、苦しい戦いにあって重宝」すると言われた平八の様なポジションかな。まぁ普通にこの人は強いんだけど。
 こういう役が似合うな古田新太。100点だと思う。新感線ではいつも刀だった気がするから、槍を振り回す新太っていうのは新鮮だった。


 新左衛門の部下であり、組織の参謀役、倉永左平太(御徒目付組頭)。松方弘樹。

松方弘樹…倉永左平太

 とても戦いの算段をしているようには思えない和やかな雰囲気の部下。部下と言っても付き合いが長いみたいで古くからの友人のように見えた。そして異様に強い。この人の殺陣は一人だけ動きがおかしい。物凄い格好良かった。顔が良い。
 松方弘樹ってヤクザとかの親分のイメージがあったけど、こういう優しい感じの役柄も良いなぁ。まぁ合戦中はまさに鬼神の如き活躍でしたけど。


 倉永左平太の部下、日置八十吉(御徒目付)。高岡蒼甫。

高岡蒼甫…日置八十吉

 弓の名手であるらしい。弓を使うのは合戦の最初の方だけなので、あんまり設定が活かされなかったな。部下の部下なので、キャラの掘り下げがあまり行われなかったのが惜しい。
 山田孝之と同じく三池組傘下『クローズZERO』組から参戦。


 倉永左平太の部下、大竹茂助(御徒目付)。六角精児。

六角精児…大竹茂助

 怪力と言う設定だけど、そんな怪力っぽい描写は無かった気がする。同じく部下の部下なので、キャラの掘り下げがあまり行われなかったのが惜しい。ただ、この人の最期は狂気っぽくてとても良かった。
 六角精児……相棒シリーズの鑑識の人か!?全然わからなかった……。


 新左衛門の部下で軍師役、三橋軍次郎(御小人目付組頭)。沢村一樹。

沢村一樹…三橋軍次郎

 軍師っぽいことを何かしていたかどうかちょっと記憶があやふやで、松方弘樹に部下としての存在感を持っていかれてしまっていたのでちょっと目立って無い気がした。合戦時では素晴らしい最期だったが。
 この人もあんまり知らない役者でした。


 軍次郎の部下である意味暗殺作戦の成否を握る男、樋口源内(御小人目付)。石垣佑磨。

石垣佑磨…樋口源内

 火薬の使い方に精通せよ!と命令されて、爆破トラップのプロになる一人。この人の爆破トラップが無かったら人数を大幅に削る事ができず、作戦は失敗してただろう。
 全然知らない人でした。と思ったら、この人『伝説の教師』で未成年だから何やっても大丈夫とか言って中居君を刺したりしたヤクザの息子のクソ野郎さんでした。久しぶりだわ。


 軍次郎の部下、堀井弥八(御小人目付)。近藤公園。

近藤公園…堀井弥八

 ちょっと記憶があやふやなんだけど、こいつも爆薬使いで良いんだよね?なんか組織の金庫番と言うよくわからない役職で紹介されてるからわからなくなった。
 大人計画の演劇で見たことある。と思ったけど調べてみたら『ウォーターボーイズ』にも『ピンポン』にも出てた。印象的な顔してるんだけど、思い出せない……(^^;
 

 途中から加わる山男、木賀小弥太。伊勢谷友介。

伊勢谷友介…木賀小弥太

 ジャンゴの義経は設定からしてかなり格好良いカリスマキャラだったけど、今回はこんなキャラでも格好良い。伊勢谷スゴいな。村長の岸部一徳との絡みはご愛嬌(笑)このキャラが最期謎の生き残り方をしたりするのは本当に三池さんらしさだと思う。
 こいつの思い人であるウパシと新六郎の妻が同じ女優さん(吹石一恵)ってのは色々対比が考えられてて面白いよね。

 これで「天命あって集いし我ら……13人」。

待つ
13人
12人


 本当にみんな格好良くて男臭くて、良い。ただ、敵もかなり良い味を出している。

 討つべき標的、松平斉韶。稲垣吾郎。

稲垣五郎

 男は殺し、女は犯す。バイオレンスジャックのスラムキングの様に人犬を作って遊ぶ。縛り付けた女や子供を至近距離から弓矢で殺す。なんとも見事な暴君っぷり。シグルイの暴君のようだった。まさに狂気。
 『笑の大学』のときも思ったけど、この人普通に演技上手いんじゃね?SMAPってみんな演技そこそこ上手いよね。今回の吾郎ちゃんは郡を抜いてよかった。静かな狂気。怖い。「SMAPの誰々主演!」って聞いて最初は「大丈夫かよ?」って思うんだけど観てみるといつもかなり良いって言う罠(笑


 松平斉韶を暴君と知りつつ仕える古き侍、鬼頭半兵衛(明石藩御用人千石)。市村正親。

市村正親

 侍はどんな主君であろうと忠義を尽くすという、古き侍。悪い人ではない、無能な人でも無い、真面目過ぎた。こいつの方には手練れが基本的にはこいつしかいないようで、ひたすら孤軍奮闘していた気がしてちょっと可哀想になった。まああの人数でさらに手練れが何人かいたらどうしようもないか。
 市村正親さんは、眼光は鋭いんだがどうも強そうに見えないな……。


 あと、事の発端のある事件で息子夫婦を殺された尾張藩の家臣、牧野靭負(尾張家木曽上松陣屋詰)。松本幸四郎。

松本幸四郎

 松平斉韶に怒りの念を抱いている。
 橋を通らせないときの覚悟を決めた顔がスゴい良かった。

 もっとキャラ多いけど、予告編にも顔出さなかったりするから割愛。


 登場人物が多いから、全員のキャラの掘り下げをちゃんとやるって事は叶わなかったけど、それでも格キャラの最期は英雄ちっくでとても格好良く見える。特攻隊なのはわかっているんだけど、みんな死んで欲しくなかったな笑

 合戦は最初は結構大掛かりな爆破シーンを使ったり

爆発1
爆発2
爆発3

 CGの火のついた牛を走らせたり、ド派手な事をやるが、「小細工はここまでだ!」と弓矢すら捨てて、あとは役所広司の「斬って斬って、斬りまくれ!」の号令で13人vs200人(爆破とかで100人は削れたと思う)くらいの正面対決。約50分間、本当に凄まじく、泥臭く、熱い合戦。
 次々と倒れていく刺客たちの死に様はかなり壮絶。

 うろ覚えだけど、
 最初に高岡蒼甫が襖越しに刀(槍だったかな?)で貫かれて絶命。ちょっと意外だった。
 ボロボロにされた石垣佑磨が敵のヘタレ幹部みたいのに止めを刺される。
 ボロボロにされた波岡一喜が誰かにあとは頼む!的な事を言い残して動かなくなる。
 ボロボロになり、半ば狂人と化した六角精児が稲垣吾郎と市村正親を見つけて笑いながらも市村に斬られて笑いながら死亡。
 二刀流とか、地面に油引いて火をつけたりしてた近藤公園だが、ボロボロになり最期は爆弾を抱えて自らの血の雨を降らせて爆死。
 槍が折れ、刀を抜き暴れるもごちゃごちゃにされて古田新太死亡。
 伊原剛志は弟子の窪田正孝と共に、大量の刀を配置した場所で稲垣吾郎と市村正親をあと一歩のところまで追い詰めるも直前で敵の増援が間に合い、失敗、その後敵と乱戦になり伊原は刀を失いながらも石で敵を殴り殺したところで力尽きる。窪田はその師匠の死ぬまで戦う姿を目に焼きつけ力尽きる。
 役所広司と松方弘樹に全てを託し、一人時間を稼ぐために敵の軍勢相手に踏みとどまり、その場で獅子奮迅の活躍を見せ、その後ボロボロになりながら市村正親の前にたどり着くも真っ二つに斬られて死亡。
 松方弘樹は他の人よりも圧倒的に流麗で素早いチートのような殺陣を終始見せつけ、鬼神の如き活躍を見せるも徐々に傷ついていき、満身創痍になり力尽きる。
 役所広司は市村正親を道場稽古ではなく合戦の一騎打ちで仕留め、稲垣吾郎の刃を腹に喰らいながらも刃を立て、見事目的を果たして力尽きる。

 それぞれの最期ってこんな感じだったよね?いや、もう、ホントに凄かった。もう一回見たい。

 殺陣に重点を置いて、そこかしこに三池節を入れて、見事なエンターテイメント時代劇として成立していると思う。アクションだけでなく、役所広司と市村正親の対比、山田孝之と伊勢谷友介の対比(稲垣吾郎もこの対比に入れられるかも)、色々考えてみても面白いと思うし、現代の時代劇の大傑作と言って良いとおもう。何度も言うけど三池さんって本当にスゴい。満足。

 こういう邦画をもっともっと作ってほしい。


愛すべき名場面
○「みなごろし」~武者震い
○伊原が密偵を斬り捨てるシーン
○13人が集まっていくシーン
○松本幸四郎の通せんぼ
○合戦


愛すべき名台詞
○明石藩主松平斉韶様、お命頂戴することとあいなった
○預かったおぬし達の命、使い捨てにいたす
○天命あって集いし我ら……十三人
○各々方、覚悟は良いな!? おう!
○斬って斬って、斬りまくれぇ!


評価
★★★★★
(★ 五つが最高。☆は0,5点)


予告編↓

テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2010/11/16(火) 00:44:37|
  2. 映画-邦画
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  4. | コメント:2
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